行政訴訟傍聴記〜千葉県議会議員海外視察旅費一部返還請求訴訟
- narashinoombuds

- 2月21日
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更新日:2月23日
こんにちは、市民オンブズマン事務局です。
昨日、千葉県市民オンブズマン連絡会議が取り組んでいる「千葉県議会議員海外視察旅費一部返還請求訴訟」を傍聴してきました。

この行政訴訟は、元々、同県議会議員の西尾憲一氏が千葉地裁に提起し、千葉県市民オンブズマンも提起したことから、後に千葉県市民オンブズマンが共同訴訟参加人※1となったもので、弁護士を立てずに本人訴訟で臨んでいる裁判です。
*県議海外視察の旅費1690万円の返金求める 千葉県市民オンブズマン、県を提訴 - 産経新聞2025/7/30
事案の概要は以下のとおりです。
海外視察概要: | 千葉県議会議員10名は、2024(令和6)年度千葉県議会海外行政調査事業(海外派遣)として、5月31日から6日間、ドイツ・オランダを旅行した。羽田フランクフルト往復航空運賃は、全員ビジネスクラスで、1人112万円、1泊11万円のインターコンチネンタルデュッセルドルフホテルに2連泊し、税金で1人あたり169万円の海外旅行をした。 |
海外調査報告書: | 令和6年度海外行政調査(千葉県ホームページ) |
高コスト設定の旅程、決定経過の不透明さ、そもそもの視察の必要性・効果が問われています。
千葉県議会議員の海外視察は、財政難を理由に14年間実施されていなかった時期もあったそうです。
以下は、千葉県ホームページにある県議会議員海外行政調査の報告を基に、各年の状況をまとめたものです。費用については、県ホームページでは確認できなかったため、県議会議員のブログや原告からの情報を元に掲載しています。
行き先 | 主な目的 | 参加議員 | 費用 | |
平成27年度 | オリンピック開催に向けた取組状況、観光振興施策、日系社会や日系企 業の現状と課題 | 9名 (自民6・民主2・千葉県民の声1) | 1,988万円 | |
平成28年度 | イギリス (8/29〜9/4 7日間) | (リンク切れ) | (リンク切れ) | 1814万円 |
平成29年度 | 外国人観光客の誘客・県産品の輸出促進・海外進出日系企業の現状と課題 | 5名(自民3・民進2) | 682万円 | |
平成30年度 | 県産農林水産物の輸出促進・外国人観光客の誘客・海外進出日系企業の現状と課題 | 9名(自民7・千葉民主2) | 981万円 | |
令和元年度 | ICT利活用の推進・防災対策・外国人観光客の誘客・進出企業の支援 | 15名(自民9・千葉民主2・立憲2・他2) | 2,357万円 | |
令和2年度 | (コロナ禍で見送り) | ー | ー | ー |
令和3年度 | (コロナ禍で見送り) | ー | ー | ー |
令和4年度 | (コロナ禍で見送り) | ー | ー | ー |
令和5年度 | 県産農産水産物の輸出促進・外国人観光客の誘客・外国人介護人材の確保の取り組みの検証 | 12名(自民7・立憲2・公明1・国民1・他1) | 732万円 | |
令和6年度 | 海外都市との交流の取組、再生可能 エネルギー、観光振興等の現状と課題 | 10名(自民7・公明1・国民1・他1) | 2540万円 |
行き先のリンクをクリックすると、千葉県が公表している報告書のページ・報告書に飛ぶように設定しています。
西尾県議の調査によると、報告書の9割は職員が書いたものということです。
各報告書を読みましたが、冒頭の「はじめに」の部分は、行き先・目的と日付・団長名を書き換えただけのもの、最後の「あとがきに代えて」の部分が分量的にも議員が加筆した1割の部分とみることができるもので、そのほとんどが既に本文で記載のある視察先などの羅列で、視察で得られた知見や施策への考察などの具体に触れられておらず、何を報告するものか不明で、まるで旅行客の感想文のようでした。

今回の訴訟は、海外行政調査事業として県の予算に計上され執行されるものですが、これとは別に、千葉県議会議員が議員あたり月額35万、年420万円支給される政務活動費で行われた海外視察の報告書について、過去に、14名が同じ文面の報告書を提出していたことが判明したこともありました。
*海外視察報告 千葉県議3グループが同じ文面 常態化 - 毎日新聞2016/8/24
令和元年度のアメリカ、そして今回の令和6年度のドイツ・オランダ海外視察について、住民監査請求・住民訴訟が起こされたからか、令和7年度の海外視察は、カナダを予定(3,200万円予算計上)していたそうですが、希望者は自民党の3人のみで、最小催行人数に達せず、中止となっています。
*千葉県議の海外視察事業、人数が集まらず中止 再開後で初の事態 - 千葉日報2025年6月6日
*千葉県議カナダ視察、参加者集まらず中止に…自民提案に他会派「必然性が見いだせない」 - 読売オンライン2025/06/14
これは、西尾県議をはじめ、千葉県市民オンブズマン連絡会議が行政監視を行った成果だと言えそうです。
しかし、訴訟に先立って行われた海外派遣中止を求める請願では、自民、立憲、公明、千葉新政策議員団などの複数人が所属する会派は、共産党を除いて反対し、不採択となったことから、今回は見合わせたものの、手放したくはないということでしょうか。

*9月定例会結果:令和8年度海外派遣中止を求める請願不採択 - 2025-10-06 中西かすみ県議会議員ブログ
*会派等別議員名簿(定数95名 現員90名)- 千葉県ホームページ
さて、傍聴してきた裁判ですが、前回、前々回と引き続き、今回も、裁判長が千葉県に対し、事実関係や決定の経過を示す書面の提出を促すものでした。
県の示した説明資料では、よくわからず不十分だということが繰り返し指摘されています。
傍聴している中では、県側は再三、不備・不十分を指摘されていて、正当性を説明できる書面の提出ができていないように感じました。

*千葉県議 2500万円米国視察で問題になった男女部屋飲み写真 - NEWポストセブン2020.03.02
*海外視察「実質的には観光」 地裁、県議20人分旅費を返還請求命令 - 朝日新聞デジタル2021年12月24日
次回裁判日程は、4月17日(金)10:30〜、千葉地裁603号法廷です。
※1共同訴訟参加人・・・それぞれ独立した他人間で係属中の訴訟に第三者が当事者として参加するもの





