習志野市企業局の非開示決定の99%に疑義あり
- narashinoombuds
- 5月28日
- 読了時間: 6分
更新日:2 日前
こんにちは、市民オンブズマン習志野事務局です。
先日、市民オンブズマン習志野が行っていた下水道課の不正契約事件に係る支払いに関する文書の開示請求について、ほぼ黒塗りの文書が開示されました。
開示されているものは、文書の様式や定型文、年くらいで、その他に不備も多く見られ、習志野市の情報公開制度の運用に懸念を抱くものです。

本件については、企業局は一度、何も出さないという非公開の決定を行っており、審査請求を提出していました。
しかし、なんの説明もないまま審査会に付されることはなく、最初に情報公開請求を行ってから1年が経とうとする時、企業局から、開示するから審査請求を取り下げて欲しいと依頼があり、それに応じた経緯があります。
本件文書は、審査請求を取り下げ、再度、部分公開決定を受けての開示文書です。
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請求内容は19件の工事・業務委託に関する支払いに関する文書で、352枚の文書の開示が行われました。
そのうち、部分非公開として黒塗りがされている箇所は、6,355箇所にものぼります。
市民オンブズマン習志野で見分したところ、習志野市情報公開条例に基づき非公開が妥当と考えられるものは、41箇所です。
企業局が非公開としたもののうち、99%について、疑義がある状況です。
つまり、必要を超えて広範にわたり非公開としていると考えられ、内容についてほとんど分からないままで、公開された情報としては、最初に全面非公開とした時と実質的に変わらない状態にあるということです。
わたしたちは、それぞれの文書の様式や定型文が知りたかったわけではありません。
ちょっと信じがたい事態です。

本件は、昨年の令和6年3月に情報公開請求を行っていた分で、企業局は決定期間延長ののち、同年5月に全部非公開の決定をしました。同年6月に審査請求書を提出後、令和7年2月、審査請求の取り下げ依頼があるまで、審査会に諮ることなく、企業局側から審査請求の取り下げの依頼があり、もとの非公開決定を取り消しして開示された文書です。

(審査会への諮問) 第19条 公開等決定又は公開請求に係る不作為に対して行政不服審査法に基づく審査請求があった場合は、次の各号に掲げるときを除き、当該審査請求に係る審査庁は、審査会に諮問し、その答申を尊重して当該審査請求に対する裁決をしなければならない。 (1) 審査請求が不適法であり、却下するとき。 (2) 裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る公文書の全部を公開することとするとき(第15条第1項又は第2項の規定により第三者の意見を聴いた場合に、当該第三者に関する情報の公開に反対の意思が表示されたときを除く。)。 (3) 審査請求人から、審査会への諮問を希望しない旨の申出がされているとき(参加人(行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人をいう。以下同じ。)から、審査会に諮問しないことについて反対する旨の申出がされているときを除く。)。
と定めいます。
審査請求を提出したあと、企業局より弁明書が届いており、審査請求人の口頭意見陳述の申請も受理されていたことから、手続きは進んでいたとみられ、審査会に付す前提で動いていたであろうと推察されます。
念の為、習志野市行政不服審査会の会議のページも見てみましたが、昨年8月を最後に更新されておらず、審査が立て込んでいた等の事情があった様子も窺えません。

どのタイミングで、誰がどのような考えで、途中まで進めていた審査会への諮問はしないことにして、元の処分を取り消しして再決定を行うとしたのか、放置されていた間に説明は一切なく、開示すると言って出してきた文書の黒塗りの多さと、その内容のひどさにビックリです。
今回の再決定を受けて開示された文書は、黒塗りされた部分のほとんどに疑義があり、1回目の全部非開示決定と比べて得られた情報はほぼないと言え、むしろ、時間、手間、検証機会の逸失、それから開示にかかった費用、10円×352枚=3,520円の 損 失 です!!
ちなみに、過去に、他の複数の自治体で同様のケースに遭遇したことがありますが、いずれも、請求人の主張を認容するもので、当初の決定が間違いだったと認めて審査請求の取り下げを依頼してきたものです。審査請求書を出してすぐの対応で、その後、無事に開示されてます。
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行政不服審査会への諮問は、審査請求に対する裁決の客観的で公平な手続の下で審査請求人の権利利益の救済を図ることを目的とするものです。
第三者機関である審査会に諮問することで、審理手続の適正性や審査庁の判断の妥当性をチェックしてもらうことができます。
また、審査会に諮ると、企業局や市の判断について、問題があれば指摘されるばかりか、その答申は公開され、行政不服審査裁決・答申検索データベースにも掲載されます。
本件審査請求の前に、朝日新聞の記者が行っていた審査請求において、審査会は、習志野市の決定は違法と指摘する答申を出したので、このまま行くと、また同じような指摘がなされることになるだろうと想定できるものでした。
※朝日新聞は習志野市に、市民オンブズマン習志野は企業局に、それぞれ別の文書ですが、下水道課不正契約事件に係る書類について開示請求していました。そのため、争点が重なる部分があります。
*公開範囲の再検討求める答申 習志野市不正発注で行政不服審査会ー朝日新聞 2024年10月3日
*習志野市の部分公開・非公開処分、処分取消し、違法と答申 ーオンブズ通信2024年10月9日
この点については、時期を詳しく確認すると、本件1回目の審査請求後、企業局から弁明書を受け取った(9/6)後に、朝日新聞の審査請求についての答申が出されており(9/27)、その後、企業局の動きが止まります。

企業局の決定は正当であると弁明書を出した直後に、同様の市の決定は違法だと答申があったので、企業局は争点が重なる部分がある審査請求をこのまま審査会へ諮問に出すのか、迷いがなかったとは言えないでしょう。
審査会に諮ることを意図的にしなかったと考えることが自然です。
その後、半年も放置したのち、彼らの取った行動は、開示するからと審査請求の取り下げを依頼し、元の非開示決定と実質的に変わらないような部分開示決定を行い、黒塗りだらけで99%疑義のある本件文書を開示して済ます、というものでした。

審査会への諮問を回避したはいいものの、審査請求の処理に困って、開示するから取り下げてほしいと依頼し、黒塗りだらけの文書を公開して済ます。まるで欺いて審査請求を取り下げさせたように受け取れ、とても不誠実だと感じます。
あらためて開示された本件文書を見ても、朝日新聞請求の審査会の答申をほとんど無視するものであると言えるでしょう。
権限を有する者によるこれらの行為は、情報公開の趣旨や目的はおろか、制度そのものを軽んじていると言え、審査会の存在意義も問われかねず、市政への信頼を重ねて損ねる行為です。
また、こういう手段を用いた権利侵害が、他の市民に向けられる(過去に向けられていた)可能性や、それが今後も繰り返されることも危惧され、とうてい看過できるものではありません。
なぜ、このような事態にしたのか、企業局は弁明する必要があります。