習志野市下水道課不正契約、職員は起訴猶予の不起訴処分
- narashinoombuds
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更新日:5 時間前
こんにちは、市民オンブズマン習志野事務局です。
先日、市民オンブズマン習志野が千葉県警に刑事告発していた件について、千葉地方検察庁より、被疑者について不起訴とする処分通知書が届きました。
習志野市の下水道課の職員が、契約を行わずに発注し、代金を支払うために別の工事等に金額を上乗せして契約、補填していた事案で、虚偽公文書作成等及び同行使の疑いのある事案です。

被疑者は、習志野市が懲戒処分を行なった職員7名です。
*職員の懲戒処分についてー習志野市
市民オンブズマン習志野は、令和6年3月に千葉県警察に刑事告発を行いました。
「虚偽公文書作成及び同行使に該当し、事件性があると認められる可能性が高い」と受理されており、必要な捜査が行われたあと、千葉地方検察庁に送検されていました。
(1) 不起訴及び起訴猶予 検察官は,捜査の結果に基づいて,その事件を起訴するかどうかを決めます。起訴する権限は検察官のみが有しています。検察官は,被疑者が罪を犯したとの疑いがない,あるいは十分でないと判断する場合には,起訴しないのですが,嫌疑が十分あっても,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状,犯罪後の情況といった諸般の事情に照らして,あえて起訴する必要はないと考えるときには起訴しないこと(起訴猶予)ができます。 検察官による起訴・不起訴の決定ー裁判所HPより
不起訴には主に、
嫌疑なし・・・主に被疑者が犯人でないことが明らかである場合や、犯罪を証明する証拠がない場合
嫌疑不十分・・・被疑者が犯罪を犯した疑いが残るものの、犯罪の成立を認定するには十分な証拠がない
起訴猶予・・・犯罪の嫌疑(証拠)が十分にあるにも関わらず、検察官の判断で起訴(裁判)しない処分
の3種類があります。
市民オンブズマン習志野で千葉地方検察庁に問い合わせたところ、本件不起訴の処分理由は「起訴猶予」であると担当検事より回答を得ました。
起訴猶予とは、犯罪の嫌疑がある場合になされるもの、ということです。
つまり、犯罪の嫌疑がなかった、あるいは不十分だったのではなく、嫌疑は十分にあった(証拠は揃っていた)ということです。
起訴猶予にしたのは、私的な利得を求めたものではないと考えられ、犯状が重いとは言えないこと、市の内部処分を受けていることが主な理由だということです。
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千葉地検管内の不起訴率 昨年は7割に 識者が問う説明責任のあり方(朝日新聞デジタル2024年4月11日)によると、
昨年1年間に千葉地検と県内の区検で処分された事件のうち、7割の2万5488件が不起訴処分だったことが朝日新聞の取材でわかった。
と、多くが不起訴となっている実態が明らかになっていますが、その理由については明かされないケースが多いといいます。
7割にのぼる不起訴処分(2023年・千葉地検)の理由を調べてみると、不起訴処分のうち、嫌疑ありの起訴猶予で不起訴処分となった事案は8割を超えることが分かりました。以下、内訳をグラフで示したものです。

これらは、全国的に同様の傾向にあるようです。
上記、朝日新聞記事では、
容疑者が逮捕され、報道された事件は誰もが知る公的な情報になる。しかし、検察が不起訴処分の理由を明かさなければ、犯罪に関わったのかどうかや、本当に無関係なのか分からない。 不起訴になると公開の法廷で裁かれないことになるが、処分は非公開で決まる。検事の判断が正しい権力行使のあり方だったのかを検証できない。ー澤康臣・早稲田大教授(ジャーナリズム論)
と不起訴の理由を公表しない問題を伝えています。
不起訴となるケースは相当数あり、その理由も嫌疑なしから嫌疑ありの起訴猶予まで、幅広く、人権にも深く関わることからすると、公表することで処分や手続きが適正であるかの検証を可能にし、司法・行政への信頼、社会の安定に資することにも繋がります。
また、文書偽造に係る起訴率(公文書・私文書両方を含む・全国対象)は、年々減少の一途で、近年は、13年前の半分以下、3割を切っているようです。

ちなみに、令和4年に公務員による偽造に分類される犯罪総数は、627件で、うち起訴されたのは10件、わずか1.6%、不起訴率は98.4%です。これは、習志野市の職員が不起訴となったことと、同じような理由によるものと考えられます。
記事では、千葉地検は不起訴の理由について「回答を差し控える」などとし、明かさないことが多いとのことでしたが、今回、千葉地検の担当検事からは丁寧に説明をいただいたことは、一縷の希望を感じます。
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本件処分の原因となった習志野市下水道課職員の虚偽有印公文書作成・同行使もそうですが、事実関係を記載する文書に虚偽の内容が記載されたり、偽造、改竄が行われることは、公文書・私文書問わず、文書に対する信用性を毀損する行為です。
高い信用性が確保されなければならない公文書の偽造や虚偽記載は、公文書に対する信用性を害するもので、行政の透明性・説明責任・民主主義そのものに大きな影響を与えかねないもので、不正や隠蔽の温床にもなります。
本件不起訴処分は、市の内部処分を受けていることが考慮されているということでしたが、習志野市は、「虚偽公文書作成・行使」ではなく、「不適切な事務処理を行った」として、事実認定を異なるものとし、軽い処分で済ませているものです。また、その決定に至る過程を記録した文書も未作成と、市長は市議会で述べています。
公文書の虚偽記載も、文書の未作成も、事実の検証を困難にし、説明責任を放棄する行為です。
一方で、検察は内部処分を行なっていることを考慮に入れていても、その処分が妥当であるか判断するわけでも、市の説明がどのようなものであったか判断しているものでもありません。
起訴猶予での不起訴、つまり、嫌疑はあるが、裁判にかけることは見送るという判断がなされただけで、刑法に定める犯罪が行われた証拠は充分に揃っていたことは事実であったと言えます。
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本件不起訴処分の犯罪行為である習志野市下水道課の不正契約、その端緒となった公益通報、その後の情報公開請求に対する市の対応等を検証する中で、習志野市は、自分たちに都合の悪い情報は、権限を利用して過度に制限し、批判を受けないようコントロールしていることが浮き彫りになっており、市民は正確な情報を元に判断することもできず、民主主義とは程遠い実態であることが示されています。