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習志野市情報公開は茶番だった?!

こんにちは、市民オンブズマン習志野事務局です。


先日、朝日新聞が行なった情報公開に係る審査請求について、答申前の開示文書と、答申後の開示文書を、習志野市は何を非公開としていたか、比べてみた結果を書きました。


習志野市は、不正契約に関わった業者名等を非公開としており、業者名等に結びつく可能性があるとする情報は、到底考えられないようなものまで、広く非公開としています。


これは、できるだけ市の持つ情報を公開しようとする制度の趣旨を軽んじる姿勢の表れです。むしろ、市民に知ってほしくない情報は徹底して隠す姿勢、という方が正確かもしれません。



朝日新聞が行った「内部通報報告書」に関する情報公開請求の非公開決定に対する審査請求で、習志野市行政不服審査会は、業者の名称を特定させる情報について、


  • 水増し請求自体が違法であることは明らか


であり、このような事実が開示されることによって


  • 公正な競争上の地位又はその他正当な利益が害されるおそれがあるということはできない


とし、さらにその他処分庁の主張も採用できないと、業者の名称を特定させる情報は、習志野市情報公開条例第8条第2号(法人等情報)に該当せず、非公開処分は違法と判断を示す答申を出しました。


*習志野市情報公開条例第8条は、公開しないことができる情報を定めた条項で、第2号に法人等の情報についての定めがあります。該当しないということは、条例に定める非公開にできる情報ではないということです。


それなのに、答申後に、市民オンブズマン習志野が行った情報公開請求で開示された内部通報報告書は、業者の名称を特定させる情報について非公開のままとなっています。



なぜでしょうか?



上記答申後に、習志野市長が出した裁決書がはこちらです。

※裁決書についても、行政不服審査裁決・答申検索データベースで公表されています。

※上記データベース内の裁決書ページはこちらです。

※裁決書の、10ページ目(裁決書にはページが振られていません)の項目3、「理由3により非公開とした部分の情報が非公開情報に該当するか否かについて」に、法人等情報について非公開とした理由が述べられています。


裁決書を読むと、処分庁であり審査庁である市長は、「補充調査」と称するものを、審査会が業者名等は非公開情報には該当しないと判断した答申の3ヶ月後に行って、その陳述を採用して答申の内容とは異なる判断に至っていることがわかります。


下図は、審査請求が行われてから、裁決が出るまでの経過を、当該答申・裁決書より抽出し、まとめたものです。

答申が出されたのが、令和6年9月27日(下図の赤枠)、補充調査は、同年10月31日および12月(日付不明)の2回、企業管理者と業者に対し、行われています。

朝日新聞が行った「習志野市下水道課不正契約事件」に関する情報公開請求 審査請求〜裁決まで 経過まとめ
朝日新聞が行った「習志野市下水道課不正契約事件」に関する情報公開請求 審査請求〜裁決まで 経過まとめ

習志野市情報公開条例第15条に、第三者保護に関する手続に関する規定があります。

第三者保護とは、公開請求に係る公文書に、第三者に関する記述がある場合、当該第三者の権利利益を保護するため、また開示の是非の判断の適正を期するために、情報公開請求に対する決定の前に第三者に対して意見聴取を行うもので、より適正な判断に資することとなり、第三者に該当する業者にとっても、公開する行政機関にとっても、意義のあるものです。


例えば、開示予定文書に、実施機関では気が付かないような貴重な営業上の秘密が含まれているような場合に、第三者保護の手続きを取ることで、誤った判断を回避する確率が高まるメリットがあります。


しかし、第三者の意見聴取は調査の一環で、判断を行うための参考にとどまります。また、公開の同意権を与えるものでもなく、実施機関は、あくまで条例の非公開事由に該当するか否かを判断し、非公開事由に該当しなければ公開することとなります。


本件についてみると、本来、条例に定める第三者保護の手続きは、最初の決定がされる時になされるものであるものの、審査請求が行われたあとでも、利害関係人として、業者の聴取の機会を作ることは “ 十 分 に 可 能 ” だったと考えられます。


むしろ、利害関係人の聴取等を行うことは、審査会も答申に万全を期することになり、業者にとっても、より客観的で公正な評価を受けることが期待できるものですが、どうもそのようなことを行った形跡はありません。


仮に、第三者である業者から反対意見が出されていれば、答申に何らか記載されると思いますが、答申にそのような言及はないことからすると、審査会には、第三者である業者から反対意見は出されておらず、聴取や意見陳述の手続きもしていなかったのではないかと考えられます。


また、処分庁は、審査会ですでに非公開にすべき主張を述べているはずですが、業者の意見を代弁するような内容を含んでいたとしても、採用されていないことは答申から明らかです。


それなのに、習志野市は答申の後に「補充調査」と称して、業者の聴取を行い、その業者の聴取内容について、「情報公開に反対する意見書が提出された場合、その内容が合理的である限り、原則としてその法人の不利益が認められると考えるのが相当」というような都合が良すぎる解釈をして採用し、非公開情報に該当すると導いています。


ちなみに、答申で「違法行為を行なった事実が開示されることによって、公正な競争上の地位又はその他正当な利益を害するとは言えない」と示されているのに、裁決で採用された企業管理者と業者の陳述は、どれも「違法行為を行なったことによるもの」ばかりです。

※非公開の根拠として採用された業者の陳述内容は、裁決書の4ページ目、10に記載があります。



これが罷り通るならば、都合の悪いものは、な〜んにも公開されなくなりますYO



請求人にとってみれば、審査会で公平で客観的な評価を受けたはずが、答申後の裁決で、業者の聴取内容が一方的に採用されて覆ったのですから、たまったもんじゃないでしょう。


なんのために請求人は不服申し立てを行い、なんのために審査庁である市長は審査会に諮問したのでしょう。なぜ、審査会で業者の聴取や意見陳述の機会を作らなかったのでしょうか。なぜ、審査会は、「再度処分庁において検討、判断する機会を与え」たのでしょうか。





参考までに、習志野市情報公開事務取扱要領では、具体的期間の定めはないものの、

審査会から答申があったときは、遅滞なく、当該審査請求に対する裁決の手続を行う。

とし、“遅滞なく”の具体的な目安を定めている自治体の多くは、答申が行われてから裁決を出すまで、通常30日、長くても60日を標準処理期間の目安としています。

●審査請求後、審査会への諮問・・・45日

●答申後、裁決まで・・・原処分妥当/30日、その他/60日

※実態として件数が多いために期間超過しているケースがあるが、習志野市の件数は極めて少ない。


本件の審査請求が行われたのは1月で、3月には諮問に付され、答申は9月27日に出されました。企業局への補充調査は答申の1ヶ月後の10月31日、業者への補充調査はさらに1〜2ヶ月後の12月(日付不明)、裁決は翌年1月に行われています。


私たちの代表が行なった審査請求は8ヶ月以上放置されていたのに比べて、本件は、相手が報道機関だからか、かなりスムーズに進行していました。


それでもなお、答申が出されるまで散々、機会は十分にあったにもかかわらず、なぜか答申の前には業者の意見陳述等の手続きは行わず、答申後に審査請求人を待たせて、補充調査と称するものを行ない、その結果、答申とは異なる裁決を行なったわけです。


つまり、この補充調査と称するものは、市が非公開とする目的のために行われたもの、とみるのが自然でしょう。



習志野市行政不服審査会は、答申を出すにあたり、適切に判断するための必要な聴取や資料の収集・見分を行なっているはずです。業者名等は争点となっており、審査会は参考人に聴取を求める調査権限もあることから、審理期間中にも全く話が出なかったとは考え難いものです。


しかし、今回のように、裁決で覆る可能性があることは容易に想定ができる中で、審査会も、「再度処分庁において検討、判断する機会を与える」などと、答申において再考を促したことも事実であり、疑問が残ります。


裁決後は、裁決に対して審査請求を行うことはできず、提訴するしかありません。

裁決に対して審査会は何もしませんし、できません。


↑これを審査会が知らないわけがありません。



今回の裁決は、非公開ありきで、そのためにただ体裁を整えたものだったのではないでしょうか。


  • なぜ、答申が出るまで業者の意見陳述等の手続きを取らなかった?

  • なぜ、審査会は、違法としつつも再考を促した?


なんだか、茶番のようですね〜



一連の市の対応を検証していると、組織により違法行為も正当化され、


公益通報するしかなかったんだろうな。


と感じます。



習志野市情報公開条例は、

第19条 公開等決定又は公開請求に係る不作為に対して行政不服審査法に基づく審査請求があった場合は、次の各号に掲げるときを除き、当該審査請求に係る審査庁は、審査会に諮問し、その答申を尊重して当該審査請求に対する裁決をしなければならない

としています。



習志野市情報公開事務の手引きは、以下のように解説しています。

行政不服審査法に基づく審査請求があった場合に、「審査会に諮問」としたのは、実施機関が保有する情報を公開するか否かの判断を審査庁の評価のみに任せるのではなく、諮問機関としての審査会の意見、すなわち、第三者的立場からの評価を踏まえた判断を加味することによって、より客観的な解決が期待できるからである。
「その答申を尊重して」とは、審査庁は、審査会から審議の結果の報告を受けたときは、その意見を最大限に尊重して、審査請求についての「裁決」を行わなければならないことをいう。なお、審査会に諮問する意義を踏まえると、答申には法的拘束力はないものの、特段の事情がない限り、答申に基づいて「裁決」を行うことを予定しているものである。





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