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水道民営化の波が習志野市にも・・?!

更新日:1月30日

こんにちは、市民オンブズマン習志野事務局です。


市民オンブズマン習志野が、令和5年12月18日に習志野市に対して行った住民監査請求で、習志野市の監査委員が、習志野市企業局に対し、監査請求で指摘された事項について今後の監査等のタイミングで再発防止策の取り組み状況などの報告を求めていた件について、昨年の9月に結果が公表されていました


市民オンブズマン習志野の行った住民監査請求は、すでに措置が取られていると棄却されましたが、監査委員は、「再発防止策の着実な実行と、定期的かつ継続的な検証の必要性が認められ」るとして、企業局に対し、具体的な取り組み状況の報告を要求していました。


今回は、公表された企業局の具体的な取り組み状況の中に、気になる点がありましたので共有します。

措置の内容

取り組み状況

企業局内、部内及び課内において、定期的に人事異動等を行うことで、 長期にわたり同一人が同じ業務を担当することがないよう配慮するとともに、市長部局との連携をこれまで以上に密にし、適時適切な人事異動によ り組織を活性化していく。また、事務の「事業評価」、及び事務執行内容と職員数の検証を行い、必要に応じて外部委託に移管できる体制を整えることを検討する。

令和 6 年 4 月 1 日付け人事異動において、適材適所な職員配置を行った。 引き続き企業局内、部内及び課内において定期的に人事異動等を行うとともに、更なる市長部局との連携により適時適切な人事異動を図ることで組織の活性化に努めていく。令和 6 年度から係を統合したことにより業務を共有できる体制となったことから属人化防止にも努める。また、維持管理業務を民間へ包括的に委託することについて、令和6年度にウォーターPPP の導入可能性調査を実施することとしており、その調査に基づき外部委託の手法や対象範囲並びに移管できる体制について検討を進める

※赤字・下線は市民オンブズマン習志野


令和6年度にウォーターPPPの導入可能性調査を実施する

と記載されています


ウォーターPPPとは、水道・工業用水道・下水道について、所有権は自治体に残すものの、運営権を10年〜20年に渡り、民間事業者に売却する「コンセッション方式」と、コンセッション方式に段階的に移行する前提で、契約期間を原則10年と短くしたり、運営権や利用料金の直接収受がないなど導入しやすくした「管理・更新一体マネジメント方式」を総称したものです。

ウォーターPPPの概要(国土交通省)
ウォーターPPPの概要(国土交通省)

確かに、今まで事業ごとに契約を行っていたものを、下水道事業の運営を外部に委託すれば、工事業者等と契約を行うのは、委託を受けた企業になりますから、企業局の職員が今回のような不正契約を行う機会は少なくなるかもしれません。


そして、地方自治体は、適正な運営を確保するために、民間事業者との契約や、履行について、監査・モニタリングを行う立場になるようです。


しかし、公益通報が初めてで、平常の業務と同時進行であったからと調査に2年もの日数を要し、その挙句に、虚偽公文書作成を罰するほどのことではないと、虚偽公文書作成ではなく不適切な行為と事実認定を曲げて、自ら定めた懲戒処分の指針を反故にする軽い処分で済ませ、これらの事案を自ら積極的に公表しなかった市や企業局が、コンセッションという複雑で高度な契約を行い、監査・モニタリングし、問題点を指摘・改善を要求することになるというのですから、なんの冗談かと思います。


そもそも今回の習志野市下水道課の不正契約事件は、契約そのものを行わずに発注して、他の契約に上乗せした金額を虚偽記載して支払ったり、入札すべき案件で入札事務を回避するために分割発注を行うなど、業者に協力させて行っていたとされるもので、契約の金額の妥当性さえ疑われても仕方のないものです。


また、条例に基づいた情報公開請求に対しても、公益通報で発覚した事案であることをこれ幸いとばかりに、通報者を特定するような秘匿性があるとは言えないものまで非開示範囲をいたずらに広げ、不正契約事件に関わる公文書のほとんどを非開示とするなど、自らに不都合なものや、批判の対象になりそうなものについては徹底してクローズする姿勢を示しています。


住民にとっては、より見えにくくなるばかりか、代償をコストとして払わされる結果を招く可能性を否定できません。


まず第一に、これが不正契約事件を防止するための具体的な取り組みとして記載されていることに、非常に強い違和感を覚えます。



二点目は、住民にほとんど知らされていないウォーターPPP導入についてです。


コンセッション方式について、国は、施設の「運営権」を民間事業者に「設定」するという表現をしていますが、行政は対価を得ますので、民間事業者に期限(長期)つきで運営権の売却をする契約です。

コンセッション方式の手前の段階である、管理・更新一体マネジメント方式は、いずれコンセッション方式への移行することを前提に新設されたものです。

※PPP/PFI推進アクションプランを作成した内閣府は、「管理・更新一体マネジメント方式(原則10年)の後、公共施設 等運営事業に移行することとする。」としています。

公共施設運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン(内閣府)より
公共施設運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン(内閣府)より

ウォーターPPPは、自治体の財政負担を減らす目的で導入されますが、民間事業者は税金や株主配当、役員報酬など公共では発生しなかった費用や、設備・建設投資などは、主に利用者からの料金収入で経費を回収することになります。

※管理・更新一体マネジメント方式は料金徴収を伴いませんが、いずれコンセッション方式(料金徴収を伴う)への移行が前提です。

※習志野市がウォーターPPPを導入するのか、どのような形態の契約を行うかは、まだ不明です。


また、このような大きな事業は、大手企業が受注することになるでしょう。

ちなみに、コンセッション(concession)とは、租界、利権、特権という意味です。


さらに国は、導入検討時の費用についての国費支援やウォーターPPPを10年間で225件達成するとして期限を切って補助金を設定したり、令和9年度以降の汚水管の改築に係る国費支援について、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件とする、コンセッション方式に国費を重点配分するなど、強力に推進しているようです。


コンセッション方式は、料金については条例で上限を定めることができるとしていますが、今までにもあった指定管理や業務委託と異なり、契約期間も10年〜20年と長く、運営に関わる決定権は基本的には民間事業者にあり、事業者の自由度も大きく、限りなく民営化に近いものと言われています。


水道や下水道では、競争相手のいない地域独占となり、私たち住民には、下水道を利用しないという選択肢はありません。



以下は、下水道PPPに関し、習志野市のHPに公表されているものですが、バラバラとあちこちに掲載されており、市民からは非常に見えにくいものとなっています。


一般市民から見て、習志野市が下水道の運営権の売却を行おうとしているとは、とても気づけません。


企業局の具体的な再発防止策にある、「令和6年度にウォーターPPPの導入可能性調査を実施」の具体的内容のわかる資料は習志野市のHPからは見つけられませんでしたが、国の施策や資料と見比べると、国から財政的・人的支援を受け、事前調査、事前準備は着々と進められているように受け取れます。


企業局の具体的措置内容にある「令和6年度にウォーターPPPの導入可能性調査を実施」される(た)のであれば、下記の国土交通省の資料(ウォーターPPP導入検討の進め方についての赤丸で囲んだ、②③のあたりに習志野市は進んでいると考えられます。


国土交通省「ウォーターPPP導入検討の進め方について」より
国土交通省「ウォーターPPP導入検討の進め方について」より

しかし、ウォーターPPPが導入されるのであれば、一体どの段階で、どのように市民に知らされるのでしょうか?

また、市民はその具体的内容を知り、検討をするための十分な知識、情報、時間を得ることができるのでしょうか?

市民の意見は反映されるのでしょうか?


市議会の会議録を検索しても、平成30年9月の第3回定例会(9月11日)で、清水晴一市議による「下水道事業のPPP/PFIの方向性について」の質疑があるのみで、他は見つけられません。(この時点では、具体的な計画には至っていない、検討を重ねるとの回答。)





下水道は公衆衛生、市民の生活に直結します。

国や市の語る民間事業者に任せることによる効果は、必ずしも明確ではなく、検証も十分に行われていないと言われています。


運営権を売却することによって、市は一時の財源を手にし、財政負担は軽減するかもしれませんが、住民にとっては、大きな代償を払うことになる可能性を含む、重要な事案なのではないかと考えます。


また、ウォーターPPPのように「まとめて委託する」ような方法は、まとめることにメリットがありますので、下水道だけに留まるとは考えられません。まずは手始めに下水道、といったところでしょうか。

※実際に、上下水道一体で行うウォーターPPPについて国費支援で何らかのインセンティブをつけることが検討されています。



千葉県内の各自治体も、続々と進めているようです。



みなさんは、この問題、どう思いますか。



習志野市企業局の使用料徴収業務は、フランスの巨大水道企業ヴェオリア社の子会社
習志野市企業局の使用料徴収業務は、フランスの巨大水道企業ヴェオリア社の子会社


*市民オンブズマン習志野の現在の取り組み→ 下水道課不正契約事件


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