市民への説明はYouTube「モリシア津田沼は習志野市のもの」は市民の勘違い
- narashinoombuds
- 8月10日
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更新日:8月18日
こんにちは、市民オンブズマン習志野事務局です。
先月、市民オンブズマン習志野のHPに、新たに「習志野市公共施設再生・跡地問題のページ※1」を作成し、モリシア津田沼・習志野文化ホールの現在地、問題点、市議会でどのような質問・答弁がされているかをまとめました。
当該ページでまとめている中でも主なものは、オンブズ通信でも配信しています。
※1 HPの「オンブズマンの取り組み」ページにあります。
令和7年6月議会で、民意と歩む会の佐野正人議員は、
中野区は5月21日に正式にサンプラザ中野の再開発計画を白紙に戻すとなった後、1週間後に住民説明会を開いている。習志野市においても、市長はみずから住民説明会を開いて市民に説明すべきでは?
という質問をしています。
再開発・再建設をすると言って、文化ホールは令和5年4月に閉館し、続いてモリシア津田沼が閉館となったのが、今年(令和7年)の3月です。
同年1月には、野村不動産は事業費の大幅な増加に伴いスケジュールの見直し等の協議の申し入れを行っており、同年5月には、事業の一時中断の判断に至り、市に文書で提出をしています。

この間、市内小中学校の行事や二十歳の門出式など、文化ホールを利用していた市民の催しは近隣市の施設を利用して行われています。
JR津田沼駅南口再開発事業は、令和5年4月時点で総事業費が1,400億円と試算されていたものが、令和6年には1,620億円、令和7年4月時点で2,060億円と増加し、ついに「事業性が見込めない」と野村不動産が一時中断を申し入れたものです。
習志野文化ホールの取得費を含む習志野市の負担額※2も、令和5年で140億円、令和6年に150億、令和7年には195億円と、昨年より45億円も増加する試算が示されています。
195億円とは、市の予算の約1/4に相当する額。
高すぎると言われた谷津小学校の校舎や屋内運動場の全面改築で52億。増額となる費用だけでも相当な額。
文化ホールの再建設にあたり、南口に再建設をするか、その他(市庁舎跡地)にするか等、検討を重ねてきた各委員会の前提となった建設(取得)費は、平成30年度に行われた類似施設調査結果を参考にしており、南口での文化ホール取得費は当時で117億円と概算※3されていました。
※2 R7年度の195億の試算の内訳を示す資料がないため、令和5年度から市の負担額で表示。
※3 H30年度調査は文化ホールのみの概算。他候補地の旧庁舎跡地は79億円と概算。令和5年度以降は駅前ロータリーや通路、補助金等の費用を含む(文化ホール取得費はR5年で118億、R6年で125億。R7年は不明。R5,6年については市の負担額の83〜84%ほどを占める)。

市民が公共施設を長い間利用できない状況にあることや、多額の税金が投入される見込みであること、各検討委員会やパブリックコメント等、今までの意見形成の前提条件が大きく異なっていることなど、市民へ説明や周知をしない理由がありませんが、先の佐野議員の質問に対し、市は、
文化ホールについて、施設の大規模改修を見送っている経過があり、施設の劣化状況の確認、機器の調査を確認すべく調査をしているところで、今のところ、市民との意見交換を設ける予定はない。まずは施設の現状把握に注力していきたい。なお、本件については、これから、YouTubeの市長ニュースの中で市民に対して説明していきたいと考えている。
と答弁しています。
この答弁のあった時点で、スケジュール見直しの申し入れから5ヶ月、一時中断の判断から1ヶ月近く経っていますが、市民との意見交換を設ける予定はなく、市民への説明もYouTube配信で済ます方針のようです。
調査後※4となれば、来年の3月か4月あたりに説明するつもりなのでしょうか。
※4 調査スケジュールは、7月下旬(R7.7)には外部業者との契約、調査は年内の完了、今年度内を目途に調査結果の精査を行う目標で動いているそうです。(R7.6月議会答弁より)
再開発地区のほとんどが民間の所有であっても、文化ホールは公共施設であり、その再建設に多額の税金が投入されようとしている中で、さらに上振れて費用が嵩むことがほぼ確定的(それも45億円増、それだけで済むか?)になっているのに、これです。
YouTubeの市長Newsで、どのような説明があるのか視聴しましたが、冒頭の、
先月6月に開催された習志野市議会においても、多くの議員からご質問やご意見をいただきましたが、この度改めてこの再開発事業のことについて、勘違いの是正も含めまして正確な情報の共有ということで詳細を分かりやすく、私からお伝えさせていただきたいと思います。
「勘違いの是正」と聞いて、驚いて二度聞きしました。
モリシア津田沼の実質的所有者は野村不動産であるという事実からすると、誤認なのでしょうが、市民が理解していないことが悪いというよりも、むしろ市の説明不足所以、民間所有地に建てるリスクの説明・周知が充分ではなかったことの表れではないでしょうか。
市長Newsでも述べられている、「習志野文化ホールをこの場所(現在の場所・JR津田沼駅南口)で続けるためには、実質的な所有者である野村不動産株式会社の意向に左右されざるを得ないということになります。」ことが、どういうことか、市民が理解していたのなら、モリシア津田沼が習志野市のものではないという ” 勘 違 い ” は生まれなかったでしょう。
このことは、市民がリスクを充分に認識できないまま、計画が進められてきたことを示している、とも言えそうです。
多くの市民が概要を知ることになったであろう広報習志野でも、市民が容易に” 事 実 ”を認識できるものであるとは言い難いでしょう。

市民オンブズマン習志野では、日頃市政をチェックしていますから、「勘違いの是正」が、言葉の綾や誤用だったとは受け取れません。
行政が常に正しく、市民は何もわかってない。
そうした市民への視線そのものなのだと思います。
習志野市行政は、少子化を背景に財政の適正化・将来世代の負担を過度に残さないと言って、各事業を推し進めていますが、果たして、当事業は、どうなのでしょうか?
文化ホール再建設のほか、新清掃工場建設計画(こちらは建設工事費だけで約395億!)も進んでいます。老朽化しているのは文化ホールだけではありません。
令和8年度には募集公告・契約を行うというスケジュールだった下水道のウォーターPPP※5も、サウンディング調査結果の公表以来、これといった動きは見えません。
※5 所有権は自治体に残すものの、長期間に渡り民間事業者へ運営権を売却し、民間事業者は利用料金を得て自らの資金で運営・維持管理を行うという限りなく民営化に近いものと言われているもの(コンセッション方式)と、導入を推進するために、いずれコンセッション方式への移行することを前提に「管理・更新一体マネジメント方式」が新設された。現在習志野市が検討しているとされるものは、管理・更新一体マネジメント方式。

そもそも、習志野市が下水道のウォーターPPPの導入を検討していることがわかったのも、下水道課の不正契約事件と、市民オンブズマン習志野が行った住民監査請求がキッカケでした。住民監査請求で指摘された事項について、監査委員は、今後の監査等のタイミングで再発防止策の取り組み状況などの報告を求めており、昨年の9月に公表された結果に「ウォーターPPP導入検討」の言及があったためです。
*水道民営化の波が習志野市にも・・?!ーオンブズ通信2025.1.26
市は自ら説明しようとはしていません。
ほとんどの市民は、このことについて、何も知らないと思われます。
習志野市企業局は、「ウォーターPPPの導入は必要※6」と示してサウンディング調査を行なっているのですから、市や企業局の考え、その判断に至った経緯、背景・根拠等は示せるはずですし、市民の理解を得るための行動をしない理由がわかりません。
このような状況で、来年に募集・契約を行なうのでしょうか。
※6 調査時に公表した「習志野市下水道施設等へのウォーターPPP導入検討に係るマーケットサウンディング調査」に記載。
*削除された習志野市ウォーターPPP導入検討に係るマーケットサウンディング調査のページーオンブズ通信2025.3.29
もはや市民の理解など要していないのかもしれません。